歳をとると時間があっという間に過ぎる。今日は月曜日だと意識していても明日はもう土曜日がやってきて、で、日曜日もあっという間に終わりまた月曜日がやってくる。延々とループする時間というテーマで「365.242」というアルバムをつくり、Bacchanの誕生日にBandcampでリリースしてプレゼントした。今年の3月のことである。
この2年くらい熱病のようにアンビエントな音楽や音に取り憑かれている。これまで当たり前のように聞いてきたロックやポップミュージッックをあまり聞かなくなった。そのかわり日々iphoneやSDレコーダーを持って散歩に出かけ、老いゆく自分の耳には届かない自然の音を拾ってきては聞いている。そしてお気に入りの音を素材にして即興でトラックをつくる。ロックバンドでベースを弾いていた若い頃には考えられない実に刺激の少ない音に囲まれた日々である。時があっと間に過ぎるわけである。
「どんなに歳をとってもロックを聴き続ける」とか「演歌にははまらない」といっていた自分の音楽的嗜好がどうしてこんなことになったんだろうか? たぶん、あの本に出会い、あの一言に大いなる刺激をうけ、そして彼の音楽を聴いて衝撃を受けてからだろう。
Derek Bailey and the Story of Free Improvisation
Ben Watson 著
で、その一言。「次に何が起こるかを正確に知っていることほど退屈なことはない」
小説や音楽、はたまたビジネスプレゼンテーションでいやというほど慣れ親しんできた起承転結の世界から少し離れてみようとこの歳で思ったら、とんでもない音楽や音つくりの世界が拓けた。
で、かなりフィールドレコーディングしてきた音をまぶした、とってもアンビエントな2曲を先週リリースしたので聴いてみてほしい。